古典落語X福田組のゆるゆるコメディ 映画「明烏」【にどねシネマ】

2020/09/09

にどね 男飲み映画レビュー

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高輪ゲートウェイ駅、コロナ禍の最中に開業しましたが皆さん行かれましたか?
今日は新駅もある芝浦・芝浜を舞台にした笑える映画のお話です。

にどねです。
福田雄一監督で菅田将暉、ムロツヨシ、佐藤二朗、吉岡里帆など
そうそうたるメンバーが畳み掛けるゆるコメディ映画「明烏」(2015)を観てみました。


あらすじ

品川の場末のホストクラブ「明烏」。
たった3人しかホストがいない中で最下位No.3のナオキは借金返済に追われる。
その額1,000万円。期限は明日。

返済できないと思いきや賭博で一発逆転!
ナオキはクラブの仲間と祝杯を挙げるが、
起きてみると実はお金を手に入れたことは夢だった…。
返済期限まで12時間、さあどうやって1000万円を手に入れる…!?

実は古典落語のオマージュがたくさん

物語のベースは「芝浜」

落語がお好きな方はもうあらすじで推察が付きますね。
この作品、物語のベースは「芝浜」という江戸落語の演目なのです。
芝浜のいらすと

原作では、全然働かない魚屋の勝が
芝浜(かつて港区芝付近の海岸線の陸側をこう呼んでいたんだとか)
で大金の入った財布をネコババしてきて…というお話です。

全然仕事できないのにラッキーで大金ゲットしちゃう流れはそのままです。
そして舞台も同じ品川~田町付近と完全に現代版「芝浜」。

タイトルは「明烏」

ちなみに、タイトルと同じ「明烏」という古典落語もあります。

こちらはストーリーとは直接関係なさそうですが、
(マジメ過ぎる男の子がお友達に吉原遊廓に連れていかれてハマっちゃうお話です)
夜から朝まで商売をするホストたちを表す言葉として採ったと思われます。

「品川心中」のオマージュも!

この映画に隠れているオマージュは芝浜と明烏だけではありません。

ナオキ(菅田将暉)とお客の明子(吉岡里帆)が心中するシーンがありますが、
首を斬るのを嫌がって海に身を投げようとするところは完全に「品川心中」です。

最初はあまりにも自然に心中の流れになったので後から気が付きましたが、
ちゃんとネタ元に沿っていて思わず唸ってしまいました。


落語の演目自体を映画に仕立てているものは珍しいですし、
たっぷりオマージュが入っているところに福田監督の遊び心が感じられますね!

振り切れてる俳優陣の演技

福田作品の最大の魅力は、
実力派俳優陣とコメディ全振りの脚本の掛け算だと思っていますが、
今作もゆるめの笑いに終始した作りです。
にどね的にはお酒飲みながら笑いながら観るのにピッタリ。

ムロツヨシ、佐藤二朗、新井浩文、城田優といった濃いめの俳優陣同士の絡みはもちろん、
今作は吉岡里帆の突き抜けた演技が大きな見どころの一つです。

最近では『音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!』でも
思い切った演技をされていますが、すでに2015年の本作で弾けてます。
彼女がいなかったら面白さが6割減くらいだと思っちゃうくらい。

三木聡監督 作品(音タコ、時効警察)といい、奇才監督の作品と相性がいいのか…?

映画鑑賞後はぜひ落語の方も!

楽しく、そしてちょっと頑張ろうという気持ちになれる映画でした!
そして、古典落語も気になってしまうという、ひと味違う映画。

落語好きの方はオマージュにニヤニヤしながら、
落語に親しみのない方は映画鑑賞後に是非ネタ元の落語も楽しんでみてください!
映画を楽しんで落語も楽しめるようになっちゃうなんて一石二烏ですよ?


ではでは。

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