- 私たちは月へ行くことにする。1960年代のうちに月へ行く。簡単だからではない、難しいからこそ…
We choose to go to the moon. We choose to go to the moon in this decade and do the other things, not because they are easy, but because they are hard, …
― ジョン・F・ケネディ(1962), にどね訳
50年前の話だなんて信じられませんね。
にどねです。
今日は映画「ファースト・マン」のお話。
人類史上初有人月面着陸を成し遂げた
ニール・アームストロングを描いた作品です。
昨日みやもが「宇宙よりも遠い場所」という南極題材アニメの記事を書いていますが、
月は南極よりも遠いですよ…!!
人類初の月面着陸を成し遂げるだけのヒーロー映画ではない!
舞台は1960年代のアメリカ。
ソ連との宇宙探査競争が繰り広げられる中、
アメリカはソ連に一歩どころか二歩三歩とリードされます。
世界初の人工衛星、有人飛行、月面探査機…。
そこで時の大統領ジョン・F・ケネディは世界初の有人月面着陸計画をぶち上げ、
NASAは「アポロ計画」をスタートさせます。
映画はその直前、ニールが超音速飛行機のテストパイロットだった時代から始まります。
ニールは最愛の娘の死を乗り越え、NASAの宇宙飛行士選抜への道を選びますが、
そこからは、辛い訓練、仲間の事故死、世論の宇宙開発への反発…。
本当に厳しい出来事しかない中、
ニールは孤独や不安を抱えながら突き進みます。
人類初の月面着陸をなすまでの
ヒーロー映画ではありません。
主人公ニールや、妻のジャネット、同僚たちの
感情をありありと描く人間ドラマです。
ニールではなく、妻ジャネットに移入できる絶妙なバランス
亡くした娘やアポロ11号までに犠牲になった多くの同僚を背負っていきながら、
ニールは、月へ向かっていくのです。
ときにニールの心情に同情し、心配し、
月へ到達した瞬間には抱き締めたくなるほど感情移入できてしまうのですが、
「それはストイック過ぎやしないか?」
というところも。
そこで気がついたんですが
これジャネットの気持ちになっているんですね。
ニールは観ている人が感情移入するにはあまりにストックすぎる人物なのです。
ジャネットはそんなニールの態度に何度も苛立ちを隠せずにいます。
ニールのストイックさへのモヤッとを、
ジャネットが表現してくれている気がしました。
伝記映画は主役の様子が重点的に描かれますが、
本作はジャネットの心情も終始表現している点が
この映画のミソでもあるかもしれません。
宇宙船シーンは胃が痛くなるほどの緊張感
この映画、前半はほとんど宇宙船内のシーンはありません。
しかし後半はピリピリとした息詰まる宇宙船シーンがたくさん詰め込まれています。
宇宙系の映画って、やっぱり宇宙から見る地球の美しさが強調されがちですが、
それ以上にこの映画で際立っているのは宇宙船内のシーンです。
ニールたちがアポロ11号や実験機に乗り込むシーンは本当に緊張感あります。
ベルトを止める動作ひとつをとっても、
不具合はないか慎重に確かめながら行われているのが伝わります。
宇宙船の様子を示す計器、宇宙服、
窓から見える景色、発射までのカウントダウン、
どれもが美しく映し出されているにも関わらず、
命をかけた前人未到の冒険を演出しています。
ぜひ観て体感してほしい!
半世紀ぶりの有人月面探査に向けて観てはいかが?
「ファースト・マン」について紹介しましたが、
現実世界では2024年に
「ファースト・ウーマン」が誕生するかもしれません。
NASA他各国の宇宙開発機構が協力し、
「アルテミス計画」*が始動します。
* アルテミスはギリシャ神話上でアポロの双子の妹
この計画は2024年に再び人類を月へ送り込むというもので、
- 女性初の有人月面着陸
- 将来の火星探査のための月面基地の整備
が達成されるのではないかと期待されています。
アルテミス計画の予習に、
映画で先人たちの偉業に懸ける想いを感じてはみてはいかがでしょうか。